メガワット級のパルスを必要とする電力応用として高度排水処理があります。しかしパルス電源が供給したエネルギーの一部は静電エネルギーとして伝送路や誘電体に蓄えられ、最終的に熱として失われます。無駄になっていたエネルギーを回収・回生することで排水処理の所要電力量の削減を目指しています。現時点で SiC(窒化ケイ素)のパワーデバイスを用いた試作機で 1 MW 出力を達成し、高度排水処理の実験に使用しています。さらなる高効率化のため、GaN(窒化ガリウム)デバイス・ SiC デバイスの並列運転法について検討を続けています。
図:SiC トランジスタ並列使用による1メガワットパルス電源
大電力のパルス電力を発生するために多数の半導体パワーデバイスの出力を合成し、数ナノ秒の立ち上がり時間を得る回路方式について検討し、各デバイスに流れるパルス電流のタイミング及び振幅を十分な精度で一致させることが可能となりました。
ナノセコンド領域のパルス電圧の重ね合わせを行い、高電圧パルスを発生する回路を考案しました。この回路ではコアの磁気飽和が最高出力電圧を決定することを明らかにしました。
キロボルトオーダの電圧を数ナノ秒の立ち上がり時間でスイッチングするためのゲート駆動回路方式を考案しました。回路は多数のセルに分割され、全てのトランジスタを7ns以内にオンすることができました。