研究概要

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回転電極法によるパルスパワー排水処理

生物に有害な化学物質を、その発生源の近くで「微生物が分解しやすい物質」に改質する方法について検討しています。オゾンを超える酸化力を持つ化学活性種(Oラジカル、OHラジカル)の利用と、多くの活性種を処理水と反応させるための回転リアクタにより、高度な排水処理の大幅なコンパクト化と省電力化を目指しています。(浄化槽、農業集落排水処理施設や簡易排水施設等の排水への適用が考えられます)。
(電気学会関東支部茨城支所研究発表会 (平成28年度)で発表)

研究背景

下水道の普及率は人口の約8割に達しますが、山間部や農業地帯などでは下水道よりも設置費用が安い浄化槽の利用が推進されています。浄化槽では有機物の大部分を取り除くことができますが、「抗菌剤」や「医薬品の一部」など、一般家庭から出る化学物質であっても微生物が分解できないものは処理できません。それらの放流水は小さな水路や流量の少ない河川へ排出されることがあり、地域の生き物の多様性に与える影響に懸念があります。

図:ビーカー(3リッター)での試運転:放電による発光(紫色)が面的に均一であり、一カ所に偏らないことから、この方式での大型化が可能であると考えられます。(8キロボルト、ピークパワー40キロワット級、平均電力250ワット(モータの動力を含む))

図:回転電極によるリアクタ:リアクタは次の3点すなわち「処理水が通過する部分に突起が無いこと」「活性種の原料となる空気が自然に供給されること」「動作電圧ができる限り低いこと 」を主眼として構造を決定しています。図のように円柱状のリアクタをモータで高速回転させると空気が軸上に設けた経路から水中電極のエアギャップに導入され、水の表面で沿面放電させます。この構造ではモータの「回転数」とパルス電源の「繰り返し周波数」の組み合わせが処理能力と効率に影響します。

図:回転リアクタの断面図:活性種を発生させる電極はリアクタ外周上の2カ所で処理水と接し、その部分に設けたエアギャップから空気が放出されます。パルス電圧が印加されると「処理水・空気」の境界に沿って活性種(Oラジカル、OHラジカル)が生じ、有害化学物質と反応します。

図:処理効率のグラフ(この例では青色のメチレンブルー色素(普通は酸化された状態で青色)の分子を酸化分解処理することで無色化する効率):効率は「活性種発生領域間の距離」で整理することが出来ます。

図:処理効率を決める「活性種発生領域間の距離」:(上)モータの回転が低速のときは活性種が発生する領域が互いに重なり合うため、活性種の濃度が高くなります。すると活性種が自己分解して消失する割合が増加し、効率が悪くなります。(下)モータを高速回転させれば、活性種の発生領域を互いに分離することができます。「高い能力」と「高い効率」の両方を実現するためには、パルス繰り返し周波数を上げて活性種発生に必要な十分な電力量を供給し、かつ、領域間距離を長くとれる回転数でモータを回転させることが重要となります。

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